2006年07月30日
◆ ナンバーワンを狙う企業のためのISO9001改造論 ◆
第二十二回 松尾由弘 「経験不具合を活用しよう(その2)」
▼不具合の90%は過去に経験したことだった
再発防止策がきちんとできていなかった頃のことですが、品質不良の現象と原因について調査したしたことがありました。
その結果、現象はいろいろ異なっていても、原因は過去に経験したことがほとんどであることが判明しました。
あるとき、フランス向けの製品に英語を表記した部品を組みつけてしまったことがありました。原因は、英語と仏語の部品が同じ形状であったために、作業者が棚から取り出すときに、二種類あることを知らずに間違えてしまったものでした。
仏語と英語の部品を間違えたのは初めての経験であっても、棚から類似品を間違えて取り出してしまう過ちは、過去に経験していることでした。
このように、起きた現象は初めての経験であっても、原因は、過去に経験していることが多いものです。
製造業だけでなく、製造業、食品加工業、サービス業などについても調査しましたが、原因面で見ると、おおよそ90%が過去に経験している不具合でした。
過去に経験した不具合と同じものが90%を占めているということは、経験した不具合の再発防止をきちんとすれば、不具合を10分の1に減らせることができると云えます。
設計に起因する不具合は、一般にひとつの原因で大量に発生する傾向があります。製造に起因する不具合は、原因はひとつでも現象は多岐に渡ることがあります。いずれにしても、過去に経験している原因が90%を占めていることに変わりはありません。
▼初めての失敗には授業料を払っても良い
「初めての失敗には授業料を払っても良い、しかし同じことに二度と授業料を払うな」
「失敗は責められない、失敗を放置したときにはじめて責められるべきである」
これらは、T自動車のかたがたから教えられた教訓です。失敗経験はノウハウになります。そう考えれば初めての失敗による損失は授業料と考えてもよいでしょう。しかしそれを活用しなければ、再度同じ不具合をだすことになり、損失を発生させることになります。
品質保証は、新製品、新技術、新工法、原価低減との闘いです。失敗を恐れていては、ナンバーワンにはなれません。「初めての失敗には授業料を払っても良い」。この言葉には、「新しいことにも果敢に挑戦せよ」という意味もあります。品質マネジメントシステムを考えるとき、経営者は、社員のチャレンジ精神を大切にしたいものです。
▼経験不具合の対策をチェックシステムにしよう
経営環境は常に変化しています。新製品、新技術、新工法、原価低減などの変化があります。それにつれて人も変化します。担当者の経験だけにしておいては、再発防止が完全にできたとはいえません。
不具合が発生したら、対策をとり再発防止を図ることは当然のことですが、それをチェックシートにしておく必要があります。新製品立ち上げや、品質保証システムの定期審査などにそれを活用して歯止めにすることができるからです。
次回は、事例を挙げてどのようなことをチェックシートに残すべきか、考えてみることにします。