2006年04月30日

◆ ナンバーワンを狙う企業のためのISO9001改造論 ◆

第十九回 松尾由弘 「重点管理をやろう(その2)」


▼ 品質特性・品質管理点は重要度に応じて管理しよう

数ある品質特性・品質管理点をすべて一律に管理するのは、不経済であるだけでなく管理が散漫となり重大な不具合を見落とす恐れもでてきます。往々にして1から10まで全てを管理しているはずなのに不具合が発生し、結果的に何も管理していないのと同じであった、ということは良く聞かれる話です。

品質特性・品質管理点には人命に関わるような重大なものから、表面の小さなキズなど顧客によっては容認されるような軽微な欠点までいろいろあります。それぞれのリスクに見合った管理が必要です。そのためには、品質特性・品質管理点の重要度を考慮しなければなりません。では、どんな観点で考えればよいでしょうか。

重要度の評価に良く使われるのは、不具合が顧客に与える「影響の大きさ」( Severity )、その「発生頻度」( Occurrence )、その「検出度」( Detection ) の三つの要素を総合して判断する方法です。具体的にその基準について考えて見ましょう。


▼ 顧客への影響の大きさを考える

「不完全燃焼を起こさない石油ストーブを下さい」と言って買いにくるお客様はいません。不完全燃焼や灯油補給時に蓋が外れる、などということは、お客様にとっては想像すらできないことなのです。企業がお客様の身になって、その重要性を判断しなければなりません。以下に判断基準を、自動車と建築物を例にして掲げておきますので、これを参考に皆さんの会社の製品やサービスの不具合が顧客に与える影響の大きさについて考えてみてください。

Aランク・・・人身事故になりうるもの
自動車では「ブレーキの効き具合」、「操縦性」など
建築物では「耐震性」、「手すりの強度」など
Bランク・・・他の器物を損傷させるもの
自動車では、「車室内の突起物」など
建築物では、「棚の強度」など
Cランク・・・本来の目的をなしえないもの
自動車では、「エンジンの始動」「視界の悪さ」など
建築物では、「雨漏り」「ドアの開閉不良」など
Dランク・・・使用できるが維持費、修理費など顧客に負担が生じるもの
自動車では、「燃費の悪さ」「各種部品の耐久性」など
建築物では、「壁の対候性」「変色」など
Eランク・・・使用できるが商品価値が落ちるもの
自動車では、「塗装のキズ」など
建築物では、「建造物の汚れ」など

この他に、「顧客が受ける損害の大きさ」でランクを決める方法もあります。
Aランクは、人身に絡むもので顧客の損害は「計り知れない」
Bランクは、その製品以外の器物を破損するので「購入価格以上の損害」
Cランクは、「購入価格相当」の損害
Dランクは、一般的に「購入価格より小さい損害」で顧客に不満が発生するもの
Eランクは、実質的な損害はなくても、潜在的な不満が発生するもの


▼ 発生頻度を考える

 不具合がどの程度発生するか、その頻度に応じて管理のレベルは変わります。
発生頻度のランク付けは、以下のように考えるとよいでしょう。

Aランク・・・設計に起因する不具合で製品全体が不具合を起こす
Bランク・・・もともと不具合があるものを調整しているために時々発生する
Cランク・・・作業者の熟練度が影響する不具合で時々発生する
Dランク・・・偶発的な不具合でめったに発生しない
 この他にも、具体的な数値をあげて、判断する方法もあります。


▼ 検出度を考える

 不具合が発生しても、お客様に渡す前にそれを検出して止めることができれば、お客様に迷惑をかけずにすみます。そこで検出できるか否かがランク付けのポイントになります。
 これも例を挙げておきます。

Aランク・・・破壊して検査しないと分からない、
あるいは検査工程がない、検査方法がないなど
Bランク・・・目視、感触等、人の五感に頼る検査で検出できる
       あるいは、抜き取り検査であり、全数を見ていない
Cランク・・・計測器などを使い客観的に判断している
Dランク・・・自動化、ポカよけなどを使用しており100%検出できる


次回は、これらのランク付けに応じた管理のやり方について解説します。