2006年03月29日

◆ ナンバーワンを狙う企業のためのISO9001改造論 ◆

第十八回 松尾由弘 「重点管理をやろう(その1)」


▼ 社長に知らされなかった一酸化炭素中毒事件(十数年前の話)

最近、ナショナルが不具合を起こした石油温風機回収のCMを流しています。企業の良心を感じます。ここで取り上げたのは十数年前に起きた別の事件のことです。

石油ストーブの不完全燃焼が原因で一酸化炭素中毒を起こし、何人もの死者が出たことがありました。それだけでなく、この事件では、マスコミが騒ぐまで社長がその事実を知らなかったことが話題になりました。ニュースで自分の会社の製品が問題を起こしていることを知り、部下にただして初めて真相を知ったのでしょう。その後、この社長は責任を取って退任しています。


▼ 部下から報告がなかった

こんな言い訳のようなコメントを最近でも耳にします。「管理」ができていない証拠です。市場の問題に限らず、社内には無数といってよいほどの品質情報がありますから、すべてを社長が知ることは不可能に近いことです。
しかし、重要問題の未然防止が図られ、重要なことが感知され、重要度に応じたアクションが取られる仕組みを作っておくことは、経営にとっては必要不可欠なことです。
残念ながら今のISO9001には、重要度に応じて管理を行う考え方がありません。規格の欠陥といってもよいでしょう。


▼ 社長へ報告すべき事項の重要度の定義

どんな製品・サービスでも、目的の品質を実現するために、そのプロセスで管理しなければならない項目(以下、品質管理点と呼ぶことにします)は無数にあります。

パチンコの玉を例に挙げれば、使われ方として、
通常使用時では、「打たれる」、「転がる」
非通常時では、「洗浄液で洗浄される」、「カウンターに入れられて数量確認をされる」
緊急時として、「床に転がる」、「大量に箱に入って加重がかけられる」
などがあります。
これらの使用状態に適合させるための品質特性として、
形状に関するものでは、「直径」、「真円度(ひずみ)」、「表面粗さ(艶)」、「傷の有無」
耐久に関するものでは、「硬度」、「重量」、「寿命(使用回数)」、「耐温度」、「耐湿度」、「耐振動」、「耐食性(さび)」、「耐摩耗性」などをあげることができます。
これらを保証するために、「プロセスにおける品質管理点」として、「材料の成分比率」、「成分の均一分布」、「溶解温度」、「溶解時間」、「炉の諸条件」、「玉にするための重量管理」、「冷却温度」、「冷却時間」、などが考えられます。
単純な鉄の玉でもこれだけありますから、一般の複合製品では、品質管理点は無数にあるといっても良いでしょう。

なお、ISO9001には、「要求事項」「品質特性」という用語は定義されていますが「品質管理点」に相当する用語がありません。ここでは「品質特性」はお客様へ与える"特性"で、「品質管理点」は品質特性を作り出すためにプロセスの中で監視・測定される"特性"と考えてください。

 次回は、これらの重要度層別について解説します。