成功する企業には新商品開発がある
第9回 山﨑登志雄
2.新商品コンセプトの樹立
- 新商品の根っ子の部分をしっかりと -
2-3.商品戦略を考える(その1)
〔マトリックス上の認識〕
いうまでもなく製品やサービスは、市場に適合した商品でなければなりません。自社の製品やサービスを有望市場に適合させるため、企業全体で共有できるコンセプトを組織のみんなで認識するわけです。
共通認識を得るためのツールには、マトリックス(縦・横関係)を使うと便利です。有望市場と自社が所有する技術シーズ(技術の種)は、具体的なアイテム(商品名)で、図表2-6のような一覧表に整理すると、社内関係者の理解が得やすくなります。

商品戦略で考えることは、自社の技術力をどの市場にぶつければ、有効に活かせるかです。このため、マトリックスの横軸はあくまでも技術の名称であるべきでしょう。が、ひとつの製品やサービスには、いろいろな技術が複合化されています。ですからマトリックスは、商品戦略を考えるための道具として、横軸を商品名で表すことにします。
また、有望市場の区分や名称もいろいろ考え過ぎると、これが意外に難しいものです。が、とりあえずは社内の認識が得られればいいのですから、社内共通語のようなもので漠然と表現しておいても、ここでは十分に通じます。
マトリックスの作り方は、模造紙に縦軸・横軸のマップを描いて、現在の手持ち商品別売上高の大きさに比例した面積のカードを作って、張り付けていきます。さらにライバル企業の色違いカードを作り、このマップの中に重ねて張ると、相手の狙いどころもよくわかります。もちろん今なら、パソコンの画面の上に描いておけば、検討過程で自由に変化させながら使えます。
〔セグメンテーション戦略の誤解〕
マーケティング戦略には、セグメンテーション(市場細分化)という考え方があります。これは細分化した特定市場に、経営資源を集中させようというわけで、前の市場・シーズのマップと同じ形式で説かれます。
ただセグメンテーション戦略には、隙間市場狙いのニュアンスもある点が気掛かりです。これは「よく探せば」大企業の知らない隙間市場があるはずだとする、とんでもない勘違いです。需要がなければ市場ではないのですから、大企業は入ってこない道理です。
しかし反面、技術面で徹底的に差別化し、大企業がとても入ってこられないような隙間商品は確実にあります。大企業は、独自の情報収集力をもって掌握する市場の中で、採算面や特殊技術面で製造しえないのが隙間商品です。そんな隙間を狙う商品戦略は、大企業の情報力を利用することになるでしょう。
中小企業にとっては、最も危険にみえるこのような競争関係の状況下に、意外な安全地帯があるものです。ですから、ただひたすら「大企業が入ってこない」ことを願いながら、独自の隙間市場を狙うのとは、まったく正反対の考え方です。当然、セグメンテーション戦略と隙間市場狙いは違います。その概念は、図表2-7のとおりです。

以上、第10回につづく