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2008年07月 アーカイブ

2008年07月29日

成功する企業には新商品開発がある

第8回  山﨑登志雄


2.新商品コンセプトの樹立
- 新商品の根っ子の部分をしっかりと -

2-2.フレーム設定へのアプローチ

〔フレーム設定の方向性〕
 製造業のリストラクチャリング(事業再編成)は、有望分野へ向けて自社の事業領域と商品フレームを、徐々に変化させていく事業活動です。ですから、リストラを従業員首切りの代名詞に使うのは、とんでもないことです。
 それはともかく、市場で販売される多くの商品やサービスは、いくつかの企業が生産・販売プロセスの上の流れ、下の流れに結びついて横方向に分業してできます。したがってリストラは、図表2-3の上下に指向するわけです。
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 もうひとつは、業種で示される経済社会の縦分業の垣根を越えて左・右に、立体図で示せば前と後に拡張する方向です。この場合、自社商品の周辺から広がっていけば進出リスクが小さく、商品フレームは周辺分野に設定していく事例が多くみられます。
 さて、フレームの方向が設定されれば、これから開発しようとする新商品のコンセプトは、特定な方向付けをします。何故ならば、現在は一人の考え方や力量によって、売れる新商品を開発するのが難しくなっているからです。また技術分野の構造も細分化され、それらが複合化されて高度化社会に対応するような、市場の仕組みになっています。
 このような状況下で企業の各組織構成員が、各々別々な考えで新商品開発に臨んだのでは、組織全体の力を結集した強力な商品の開発は難しいのです。もちろん「もうかるものなら何でもやろう」というフレームはありません。結局、何もやれないからです。
 商品全般のフレームで方向性が決まれば、それに沿った新商品コンセプトを具体的に企画します。これから開発しようとする、新商品個々の狙いどころの骨組みをはっきりさせるのです。新商品フレームは開発業務に先立って、新商品の目指すべきところの総枠を概念的に描きます。

〔成功率を上げるため〕
 大手繊維メーカーの株式会社ユニチカで新事業開拓担当部門の方は、図表2-4のような概念図を示し、同社の新商品開発の基本コンセプトを説明してくれたことがあります。これは、大変わかりやすかったので、もうかなり前の話ですが流用させていただきます。
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 製造業は、新商品開発によって新事業開拓が果たせます。ですからこのアプローチの概念は、新商品フレームの設定に通じます。大地からは、有望分野へわずかに突き出している半島がみえます。ユニチカさんの場合は、より有望な市場に近付くため、その半島を徐々に迫り出していくアプローチなのです。
 このように狙うべき商品領域は、身辺にある場合が意外に多いのです。したがってフレーム設定のアプローチは、まず商品領域の再認識です。新商品フレーム設定に必要な情報は身辺から求め始めるのですから、プロダクトアウトの考え方と違います。
 自社の「技術シーズが何であるか」を知ることは、フレーム設定に大切です。自社がこれまで培ってきた技術が全く使えない分野の新商品開発は、ほぼ不可能とみるべきです。
 技術には、積み重ねによる重みがあります。どんなに陳腐化した技術のようであっても、それなりの意義がちゃんとあり、新技術だけでは新商品にならないわけです。要は、陳腐化したようにみえる技術を「どのように手直ししていくか」活用の方法が問題です。
 鉄鋼、造船などの重厚長大型産業は、本業の支援技術を活用して有望な新市場分野に指向します。程度の差こそあれ中小企業にも、現在もっている独自の技術があります。その技術をスタート点として、商品フレームの設定にアプローチできます。

〔技術シーズと有望市場の認識〕
 社内の技術シーズを自己分析することは、いわば社内技術の棚卸しです。通常の会計的な棚卸しが企業の「有形資産の在り高」を確認するのに対して、この棚卸し作業は「無形資産を調査」するのだと思えばいいでしょう。
 棚卸のやり方は会計上の棚卸しと同様に、図表2-5のような棚札を準備します。これを社員に記入して貰うのですが、物品の棚卸しと違ってなかなか難しいものです。しかし現場の技術者は、自身の技術を自ら書きだすことにより、自己の技術を改めて認識します。
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 技術進歩が早い現代において、自社の技術的な力量が認識できれば、社会的な技術分野と水準に対する認識もできます。この状態なら、新製品開発で異分野の技術を必要とするとき、比較的早く対応できます。
 技術棚卸の結論は「わが社の得意技術はこれだな」と全員で確認することです。また棚卸しは、数年に一度のペースでやりたいものです。前回度の棚卸票と比較すれば、その期間で「どんな技術的財産が増えた」か、自身の成長を振り返ることができます。
 製造業にとって市場と技術は、いわば車の両輪ですから、有望市場の想定はフレーム設定のもうひとつの要素です。技術の棚卸しは社内的な確認ですが、有望市場の認識は将来に向け、社外の情勢を展望しなければなりません。
 ある意味で、製造業の事業機会は無限ですから、グローバル(広大)な見地が必要ですが、有望の半島に焦点を絞らないと、何も見えなくなります。また未来予測には、時間的ターム(期間の幅)が要素になるため、視点を3~5年先におく必要があります。目先が、あまりに短くても長くなり過ぎても、やはり何も見えなくなります。
 ここでも、これから迫り出していくべき「わが社にとっての有望な市場分野はこれだな」と全員で確認することです。

以上、第9回につづく

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