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2009年04月 アーカイブ

2009年04月29日

世界同時不況と経営革新の必要性 横塚由光

1.米国の金融危機から世界同時不況

 米国のサブプライム問題を発端とする金融危機は、08年9月のリーマン・ショック以来、瞬く間に世界中に波及し、金融収縮から貸し渋り、資本回収がとなり、これが株価低落、景気減速へと、実体経済に急速な影響を及ぼし、世界同時不況となった。金融問題としては日本は比較的影響は少ないと見られていたが、世界の実体経済の急激な不況への突入と生産低下は、自動車産業と家電業界に大きな影響を与えた。これが下請その他関連産業へも影響を与えるに至り、08年10-12月期には12%余のGDP低下を余儀なくされた日本経済であった。この急速な生産低下に対応して、派遣・期間工などのいわゆる非正規労働者の契約解除が進み、昨年末には家と職を失う失業者が増えて社会現象とまでなった。
 今回の世界同時不況の急速な広がりは、ベルリンの壁崩壊以来旧ソ連圏諸国及び中国・インドなど新興国などの市場経済への参入と、インターネット等による情報通信技術の進化により、世界の単一市場化を促進したことに起因する。とりわけ金融は具体的なものの動きを伴わないから、その情報は一瞬にして世界を飛び回わる。その金融が動かなくなれば即実体経済に深刻な打撃を与えることとなる。特に貿易依存度の高い日本と韓国、シンガポールなどは、この急激な景気減退の影響が大きかったといえる。

2.この世界同時不況から何が考えられるか

 平成2年からリーマンショック直前までの日本の好景気は、家計に影響が少ない景気といわれた。労働分配率が低下しつつも配当と設備投資、役員賞与は増え続けた。内需を考えた成長が必要だったのである。世界市場が単一化したことは、輸出依存度の高い製造業ばかりではなく、流通業も世界との競争を考えなくてはいけない。アパレルにおいても素材や加工を世界のより低価のところから調達するサプライチェーンが必要だ。ユニクロや家具のニトリの成功は世界的サプライチェーンの確立による。大手流通業は今、世界的調達システムによるPB商品の開発に躍起だ。これも差別化の方法の一つだからである。東京銀座は世界の高級ブティックが軒を並べている。カルフール(仏スーパー)やセフォラ(仏化粧品)は撤退したがコストコ(米会員制卸)やメトロ(独会員制食品卸)は着々と店舗を増やしている。これはまたネットショップを考えれば、家庭の茶の間から世界の有名店から買物が楽しめるのである。どこの町の小売店であっても、インターネットを考慮に入れれば、世界中の店と競争しているのである。
 人口減で縮小の日本市場と単一世界市場を考えれば、国内・世界のどこを見ても競争が激化し、絶対的差別化しか生き残る道はないと知らなければならない。
 サブプライムは複雑化した金融工学の結果であり、そうした金融取引は、それだけでは付加価値を生むものではない、金融はあくまで産業の支援にとどまるべきであることをあらためて知らされた。企業の目的は消費者により豊かな生活と生き甲斐を与える何かを提供することにある。改めて企業の目的を知ることが必要となった。エンロン(米巨大企業粉飾等で倒産)やワールドコム(米巨大通信会社粉飾等で倒産)の例は、株式の高額化、企業の拡大を意図した経営の失敗、ストップオプション等による経営者の自己利益の追求などが問題となり、企業改革法としてのSOX法を生む原因となった。今回の金融危機も何らかの金融規制を生むものとなろう。

3.企業経営には差別化を実現する創造性が必要

 製造業・流通業を問わず、今提携・統合がこれも国内・海外で進む。独自性のある強い部門・製品をより強く、弱いものは統合・廃止など、統合・転換が進む。国内では百貨店、大型スーパー、家電量販店などなど、そうした事例が目に付く。家電メーカーも部品等で統合が進む。競争を少しでも避け、独自性を強め競争力を高めたいとの思いである。
差別化・独自性には創造力が必要であり、その創造力豊な経営を進めるには、優れた人材が必要となる。労働はより頭脳的となり、知識が必要となる。知識を経営に生かすのには、技術が必要であり、知識を技術に転換するには創造的構想力が必要なのであり、そうした独創性を発揮できる組織が必要となる。そうした組織は、規則命令ではなく、人々が自主的に働きがいを感じられる組織から生まれる。それには企業の社会的意義、理念を明確化し、全社員に理念への共感・共鳴を得ることである。そして権限の委譲とフラットな組織が必要なのである。自ら出資し働くスペインの協同組合モンドラゴンのような組織が、経営に参加できる企業形態が求められるのである。分配に対する労使の対立はあるがそれは交渉