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クラウド・コンピューティングって何? -SaaS再論- 横塚由光

 最近のITやビジネス関係の文書のなかに「クラウド・コンピューティング」なる言葉に出遭って、はて、何のことかと思った、クラウド、つまり雲とコンピュータとどんな関係があるのかと理解が及ばなかった。それが最近創刊した「IT Leaders」10月号の中にその解説を発見した。「システムの概念図を書くとき、ネットワークを示すのに雲の絵を用いることに起因した表現である」(同誌「仮想化について聞けなかった10の質問」栗原潔)という。
 これまでIT関連の言葉としては、あたかも列車の車窓から次々と現わる新たな風景のように、様々な言葉が出現した。EDI、ADSL等々、それらはITを巡る新しい概念であり、システムであり、テクノロジーでもあつた。これまでの文章では説明できない何か、納得させえない何かがあり、それらの言葉が新しい考え方をあるイメージとして説明しているものでもあつた。クラウド・コンピューティングもそうした言葉として受け止めればよいのではないかと思う。
 ところでこのクラウドは何を意味するかといえば、雲をインターネットとしてそこから色々なサービスを利用するということを想定すれば、雲の中は見えないのだから、利用する人々は雲の中を気にせずに端末からソフトを利用するということになる。
 栗原氏は、雲の中を「実際にデータセンターで稼働するサーバーやアプリケーション群」といい、それらは「ユーティリティ・コンピューティング」「オンデマンド・コンピューティング」「ユキビタス・コンピューティング」及び「PaaS」や勿論「SaaS」を含むものだという。そしてさらに「仮想化はクラウド・コンピューティングの必要条件になる」という。その理由は「クラウド・コンピューティングではネットワーク経由で多くの利用者がシステムを使う。当然管理するデータ量が増えるので大容量のディスク装置が必要になる。そうなったとき複数のディスク装置をひとまとめにして巨大なディスク装置に見せる仮想化は必然性がある。」とする。仮想化の意味を含めた最近のIT事情についての明解な解説と受け取れる。
 端的に言えば、今後のIT利用はインターネットを経由した方法が劇的に進化するということである。つまりITは所有から利用する、使用するという概念の転換が起きているということであり、利用者自身の考え方の切り替えが必要なのである。
 今後、殆どのシステムやソフトは、自社で開発する必要も購入することもなく、大きなハードを所有する必要もなく、パソコンとインターネットを利用できる環境があればよいと言う事である。システム開発に要する時間とコストは要らない。常に最新のシステムの利用が可能となる。バージョンアップは提供者がやってくれる。
数年前のASPの時代から現在のSaaS(システムとしてのソフトウェア)では数段の進化があった。何よりもセールスフォース・コム社のCRM(顧客管理システム)のSaaSとしての急速な普及拡大がある。加えて、通信回線の高速・大容量しかも低価格のブロードバンド化が進んだことである。そしてカスタマイズも容易になった。以前は簡単なシステムしか導入できなかったか、今では、CRMからERPまで利用できる。料金は従量制であるから、費用として処理できる。大きな投資はいらない。そしてIT専門家も自社内には置かなくてもよい。全く中小企業向きのシステムがSaaSであり、クラウド・コンピューティングなのである。経営のIT化には所有から利用への概念の切り替えが経営者に要求される。