中小企業と生産性
―中小企業白書2008年版全体概要から― 横塚由光
成長維持には生産性の向上が急務
全体概要は3部構成となっていて、第1部では、2007年度における中小企業の動向と題して、サブプライム問題、原油価格の高騰、建築着工件数の減等で日本経済の今後の見通しは不透明とている。こうした状況から中小企業では利幅が悪化し、収益は伸び悩み、大企業との差は広がり、資金繰りも弱含みとなっている、としている。
第2部では、中小企業の生産性の向上に向けてとして、労働力減少が始まっている状況から、持続的な経済成長を維持するには、労働生産性の向上が不可欠としている。
労働生産性の世界比較では、わが国は、米国の7割程度でしかない。大企業と比較すれば、中小企業は全ての業種で低い。これは資本装備率が低いことが原因であるとしている。
これの克服には、SaaSの活用が必要という。付加価値の伸びも少ないという。付加価値向上の取り組みとしては、付加価値実現のための取引環境の整備が必要としている。
中小企業のITの活用状況については、ITの資産・ソフトウェアが少なく、活用の環境が整っていないとして、IT関連の人材の育成・確保とSaaSの活用が期待されるとしている。
ホームページの活用や、電子商取引を行なっている企業は生産性が高い。グローバル化を進めている企業も業況はよく、生産性も高く、付加価値が増大しているという。
第3部は地域経済と中小企業の活性化として、小規模企業は少数精鋭であること、技術・ノウハウの独自性があること。金融機関は、コーポレートガバナンスの構築を重視していること、そして、ネットワークの形成に取組むことを課題としている。以上は筆者の独断的要約であるが、そこから見えてくる中小企業の課題は次の通りである。
低コスト、短期導入のSaaSでITの利活用をはかる
SaaS(Softwaer as a Serviceの略)は、インターネットを通じて、アプリケーションソフトウェアを利用することで、導入も短期で、コストも安く導入できる。しかもバージョンアップはSaaS提供者が行うから、常に最新のソフトを利用できる。小額のIT予算で運営でき中小企業には最適な利用方法である。自社内にITの専門家も必要なく導入できる。
経済産業省も支援
経産省は20年度予算で「中小企業経営革新プラットホーム整備事業」として中小企業のIT活用と経営力強化の支援に乗り出すという(「ソフトバンクビジネス+IT」より)。またSaaSのサービス提供会社との契約に関してもガイドラインを通産省は設定しているので参考にすると良い。
IT化は必須となった中小企業
グローバル化と激烈な競争下では、企業としての維持成長には、独自性による差別化と、付加価値増大のための生産性の向上と、創造性をもつた人材の育成が不可欠である。また小規模でも十分大企業に太刀打ちできる電子ネットワークの活用が決め手となる。それらのいずれにもIT化の推進が不可欠である。今年後半に予想される経済の停滞は、経営の革新の必要性が益々増大すると考えられ、そこにもITの利活用が不可欠となる。