流通業の低迷から何が見えてくるか? 横塚由光
明白な流通業の低迷
昨年のスーパーの売上高が、前年比0.8%減となり、前年比減は11年連続という(4月23日の日本経済紙)。それを聞いても、もはや誰もそのことに驚きはしないであろう。それより先、セブン&アイは4月10日に2月期決算が減益となったことを受けて、新たな3ヵ年計画を発表し、外食店、スーパーの不採算店を閉鎖、コンビには600店を閉じる一方で千店を新規出店するとしている(4月11日日本経済紙)。イオンも総合スーパーは100店を閉鎖・転換し、国内事業は縮小均衡に向かわせるという(4月8日日経紙)。百貨店でも高額品のブランド衣料や雑貨が不振という。もはや流通業の低迷は明瞭なのだ。
外食産業もすかいらーくが営業利益は2月期で22億円の前年比86%減で、サイゼリヤは営業利益21億円と前年比5%減としている(4月15日同紙)。外食産業はガソリンの相次ぐ値上げで車での外出を控えた影響という。しかしすでに昨年すかいらーくがMBOにより上場廃止したのは、経営の抜本的な対策を実行するため短期的利益を求める市場からの影響を切り離したものといわれる。これもファミリーレストランという営業形態が消費者に飽きられていていることの認識と言える。ファミレスに変わってショッピングセンターのフードコートが客を呼んでいるという(TV東京WBS)。競合店が隣接し顧客にとって選択が多いからという。しかしそのSCも伸びは小さくなっていると言う。これら小売・外食の停滞は、日経社の消費者調査では9割の人が消費を節約していることで裏づけられる(4月23日同紙)。
今年も賃上げは少なかった
一方で輸出関連の上場企業はこれまで増収・増益を続けてきている。しかしながら競争の激化を理由に人件費は抑制気味に終始してきていた。今年こそは大幅な賃上げを要求していた労働側も、にわかに起こった米国のサブプライム問題の影響から、本年もまた経営側は賃上げ抑制と動き、日本経団連の調査で、大手企業で1.89%、中小で1.68%の低額の賃上げとどまった。
個人消費の減少は低成長への悪循環
しかし資本側は、配当額と設備投資は増えているのである。失業率は減り、雇用者は増加しているものの、多くはパート・派遣・期間雇用者等で低賃金に抑えられているから給与所得総額は増えていない。労働分配率は低下の一方なのである。
人口減少の中での、所得の低下傾向では、どうあっても消費は低落を続け総需要の減につながり、低成長という悪循環に陥いるのである。
大企業経営者は賃金抑制は自らの市場が狭くなり、自らの首を占めることを知らねばならない。ここで伊藤忠商事会長丹羽宇一郎氏の言葉を紹介する「少なくとも、大企業には、中小企業への発注額を上げて、中小企業におカネが回るようにするなど、できることから始めてほしい」(週間ダイヤモンド3月8日号)。大企業経営者の発想の転換が必要である。
文化的生活を保障する賃金を払っても競争に勝てる独自性ある差別化商品の生産には、生産性の向上が不可欠であり、創造的構想力を発揮する優れた個人が必要なのであり、そうした人々を育成する、経営を実践しなければならないことを経営者は十分に自覚してもらいたいところである。
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