銀座松屋はデータマイニングで効果
先月号で伝えたように、百貨店は11ヶ月連続で前年を下回った売上を続けている。そんな中で、松屋百貨店(東京銀座・浅草)は、データマイニングの利用により、催事の企画の管理、DM発信先の選別に効果を発揮して、毎月のように対前年増の売上を記録しているという。3月7日の日本テラデータ㈱が開催した「Teradata Universe Tokyo 2008」のなかで同社が発表した。同社ホームページで見ても、銀座本店は19年1月から9月までは毎月売上高は前年を増加させている。10月11月は減少したが、12月は増加している。これはまさに同店が様々な形で蓄積した顧客データをデータマイニングにより、催事やDMの企画にICTを戦略的・戦術的に活用した結果であると考えられる。
日本のICT利用は米に劣る
日本でのこれまでのICTの利用について、「平成19版情報通信白書」では、企業のICT利用の効果に関する日米比較を行い、「顧客・市場のニーズ把握』や「マーケティング・商品開発業務」で「米国の方が導入割合が高くなっている」として「日本企業は業務の効率化に関する分野でのICTシステム導入が中心である」と述べ、さらに「日本企業は、組織構造の見直しを伴う抜本的な業務・組織改革には特に消極的である」としている。
こうした結果「米国企業に比べて、付加価値向上に結び付くような効果は生まれていないと考えられる」とまで「白書」はいっている。そうした中で、松屋銀座店の事例はICTをマーケティングに応用して付加価値をあげた好例なのである。
日本のコスト重視だけでは時代遅れ
どうやら、ICTの利用は日本企業においては、業務部門別の業務コスト削減という狭い範囲で行なわれていて、経営全体の革新には至っていないということだ。これはICTというとコスト削減を目標として、単なる筋肉労働の機械への置き換えに主眼を置いた、1時代も前の古い考えにとらわれているように思われる。
ICTは経営革新に戦略的に利用
ICTは単なる業務の機械システムへの置き換えではなく、CRM(顧客関係管理)や、データマイニング(多量のデータから需要予測・顧客の行動予測などの規則性を見出す方法)などマーケティングに直結したICTの手法を活用すべきなのである。高速大容量の通信機能はサプライチェーン・マネジメントの生産から販売までの他企業と一体となった業務革新をも推進する。
ICTは経営の中核となり、全ての業務が統合され、リアルタイムに処理されれば、いわゆる可視化経営が可能となる。ERP(Enterpraise resource Planning)は基幹業務統合処理システムと呼ばれ可視化経営を実現する。ERPは、これまでの優れた企業の業務プロセスを取り込んでいるから、ERPに業務プロセスをにあわせることで、業務プロセスを革新する、いわゆるリエンジニアリングが可能となる。
SaaSで低価・短期導入も
今や、SaaS(Software as aService)の利用など、最新のシステムを短期に安く導入する方法を検討することで経営へのICTの戦略的な活用をする必要がある。
横塚由光