最終回 松尾由弘 「変化に対応できているかをみるのが定期監査」
今回は、視点を変えた内部監査のやり方を紹介します。
▼ ISOは決め事が守られているかを確認せよ、だが・・・
ISO9001の「8.2.2 内部監査」には、
「以下の事項を明確にするために、あらかじめ定められた間隔で内部監査を実施すること」と定められています。
以下の事項というところには、こんなことが書かれています。
a) 製品の作り方やマネジメントのルールが守られているか
b) マネジメントのルールが効果的に運用されているか
これは、明らかに同じ仕事を継続している企業を対象にしています。
以前にもお話したことですが、中小企業の多くは、多様化する経営環境の変化に晒されています。
一年に一回程度の監査をすることにどれほどの価値があるのでしょうか。
ISOが無駄なことを強いているような気がしてなりません。
▼ 変化に対応できているかを見ることが肝心
いまどき、一年中同じことをやっている中小企業があるとすれば、よほどの改善嫌いか、成熟して成長が止まった企業いうことになります。
中小企業は、日進月歩、成長を続けなければ生きていけません。
定期的な監査では、自分の会社が変化する経営環境に、どれだけ追随できているか、遅れていることはないか、逆行していることはないか、等を見ることが大事なポイントになります。
▼ 父親参観日は子供の成長を確かめる定期監査
定期的な監査の意義を子供の成長にたとえてみましょう。
● 子供が幼稚園にあがった。
いっときも目を離したことのない我が子が、他人に預けられた。
初めての父親参観日、母親参観日。
元気に先生や友達に順応しているわが子を見て、感激した経験もあるでしょう。
● 幼稚園から小学校へ
ここでも、ランドセルを背負った子供を観察(監査)したことでしょう。
● 中学、高校、大学、やがて社会人に
あらゆる節目で、親は子供の成長を観察(監査)してきました。
定期的な内部監査のあり方は、このように考えればよいのです。
▼ 日本には品質月間がある
日本科学技術連盟、日本規格協会、日本生産性本部、日本能率協会が主催して、1960年に「品質月間」がスタートしています。
私がお勧めする定期監査は、毎年行われるこの「品質月間」を利用して、品質意識の高揚を図りながら、企業のトップに従業員の努力の過程を見ていただく監査です。
監査する側は、この一年間の経営環境の変化、事業構造の変化をベースにして、現在の状況がそれに順応しているか、無理はないか、遅れはないか、逆行していることはないか、などを見ます。
監査される側は、この一年間の努力の過程と成果を見ていただけるように、準備して迎えます。
品質月間にこのような監査をやれば、決して無駄な監査にはならないはずです。
努力の成果に対する表彰制度などを加えれば、もっと楽しい定期監査になるはずです。
ISO9001に則った監査は、とかく、泥棒と警察ごっこの監査になりがちです。
そんな無駄な監査はやめて、私がお勧めする「子供の成長を楽しみにするような監査」へ切り替えましょう。
工夫してみてください。
▼ 最後に
この 「ナンバーワンを狙う企業のためのISO9001改造論」は、
第一部 ISO9001を斬る
第二部 品質保証の基本を極めよう
第三部 もっとよく効く内部監査をやろう
のシリーズで展開してきました。
当初、これに「マネジメントの活性化を図ろう」を加えた四部作を考えていましたが、少々時宜を逸した感もあり、この三部作でシリーズを終了させていただくことにしました。
拙い論旨ではありましたが、継続してお読みいただいた方に深く感謝申し上げます。
なお、ISO9001については、まだまだ言い足りないことが多数あります。
時宜を捉えて、別の形でアラカルト風に紹介してみようかな、と思っております。その節は、よろしくお願い申し上げます。
ありがとうございました。