第三十六回 松尾由弘 「製造品質の内部監査をやろう(その4)」
新製品や新サービスの提供を開始するときに実施しなければならない内部監査について、(1)準備状況の確認、(2)購入品の品質保証状況や下請け業者の仕事の確認、について紹介しましたが、今回は提供する製品やサービスの品質の確認について解説します。
▼ プロセス間の特性から品質の安定度を確認
新製品や新サービスの立ち上げ時には、顧客へ提供する最後の品質だけでなく、その過程で生じる様々な特性を確認する必要があります。
身近なもので例えれば、ボールペンとキャップの勘合。
お客様は、購入した一本のボールペンの勘合がよければそれでよいのですが、製造する側は不良品を少なくするために、寸法のバラツキが重要な管理点になります。
キャップが嵌められる部分の外径とキャップの内径、両者のばらつきにより勘合のきつさ、緩さが変わりますので、そのばらつきの大きさから、キャップの勘合の程度、すなわち顧客が使うときの品質の安定性が分かります。
特性値から品質の安定度を推定する手法には、「工程能力指数」がありますので、これを使うとよいでしょう。
特性の平均値が規格の中央にあり、かつバラツキが小さければ工程能力指数は高い値を示し、平均値が規格の中央から片寄っていたり、あるいはバラツキが大きい場合には、工程能力指数は低い値を示します。
「工程能力指数」の詳しいことは、JIS規格のZ9041「測定値の処理方法」に定められていますので、参考にして下さい。
▼ 本番のスピードでも品質が確保できるか
欲しいもの(品質:Q)を、欲しい値段(コスト:C)で、欲しいとき(納期:D)に手に入れたい。これが顧客の願い、言い換えれば「顧客満足」ということになります。
従って、新製品や新サービスを提供する際に行う内部監査では、生産能力(スピード)の確認が必要になります。
特に、大企業の二次下請け、三次下請けのような仕事を受け持っている中小企業では、納期順守は重要な確認事項になりますので、試作、試運転を行う場合には、本番のスピードを想定してやってみましょう。
製造業では、顧客の最大需要を見込んだ生産体制で、サービス業なら顧客の最大数を想定して、量産試作、サービス体制を考慮して行います。
例えば、お店の新規開店などは、どっと人が集まりますから、最大人数を想定した販売体制や警備体制を想定して、また顧客の層をも考慮に入れて行います。
▼ 信頼性の評価
次に、顧客に提供されるときの品質だけでなく、顧客が使用した後の品質を保証するために、信頼性の評価を行います。
設計品質監査のところで、試作品、試験的なサービスにおいて、信頼性の確認を行っていますが、本番の製造やサービスでは、生産量(スピード)の違いや、使用する設備、施設の違いや、作業者の技能の違いなどから、信頼性に違いが出ることがあります。このために、本番の製品やサービスでもその信頼性を確かめておかねばなりません。
信頼性の評価項目には、寿命、耐久性、耐候性などがありますが、いずれにしても時間のかかる評価になります。
一般には、最終確認を待たずに、製品やサービスの提供を始めることになりますので、この確認は、あくまでも「設計段階で評価されたものを本番で再確認する」という位置づけで取り組むのがよいでしょう。
次回は、製造品質監査の締めとして「精密分解検査」を解説します。