◆ナンバーワンを狙う企業のためのISO9001改造論(35)◆
第三十五回 松尾由弘 「製造品質の内部監査をやろう(その3)」
品質トラブルというのは、定常時よりもプロセスの開始時、あるいはプロセスに変化を生じたときに多く発生します。この考えに基づいて、内部監査は新製品、新サービスの開始時、あるいは新工法の採用時に行うのが適切であるという考えでこのシリーズを解説しています。
今回は製品やサービスに使用する部品や材料の品質確認について説明します。
▼ ISO9001の「購買」を実行しても、望みどおりのものを入手することはできない
ISO9001の7.4項の「購買」には、以下のことが定められています。
(1)購買先を評価して選択すること
(2)購買先へ購入したい製品やサービスの仕様をきちんと伝えること
(3)購買した製品やサービスを検証すること
などです。
しかし、このルールを実行しても、購買した材料や部品の品質不良の影響でトラブルを起こしている例は少なくありません。原因は何でしょうか。
以下のことが考えられます。
▼ 間違っている購買先の評価方法
まず第一に上げられるのが、購買先の評価方法です。
一般に、過去データなどで、あるいは過去のお付き合いの実績に基づいて、発注先が決められているようです。それだけで、望みどおりの材料や部品が入手できるでしょうか。
「良い購買先」=「望みどおりの製品」、ではありません。
会社を選ぶ目的は、継続して欲しいときに欲しいものが入手できるか否かを判断することにあります。倒産したり操業が不安定でないか、などを評価します。
「継続して購入するための会社選び」
「望みどおりのものを購入するためのプロセスの確認」
この二つを使い分けなくてはなりません。
▼ 間違っている検証方法
第二に、考えられる原因は発注した製品の検証です。
一般に、「検証」=「受入れ検査」として考えられているようですが、ここに落とし穴があります。
いわゆる「受入れ検査」では、隠れた瑕疵を発見することは困難です。
例えば、中国から食品素材を購入するとしましょう。
サンプルを検査しただけで、その後のものの購入まで保証できるでしょうか。サンプルは一時的なものかもしれません。
やはり、製造プロセスを確認しなくては、不安が残りますね。
▼ 内部監査では、プロセスを確認しよう
新製品や新サービスに使用する材料や部品は、それを製造しているプロセスを確認して採用を決める必要があります。
見るポイントは「4M」です。
すなわち、man(人)、machine(設備・機械)、material(材料)、method(方法)です。
例えば、中国から食品素材である「うなぎ」を仕入れるとしましょう。
日本に持ち込まれた「うなぎ」を検査して有害物質が検出されなかった、としてもその後の購入品の品質が保証できるでしょうか。「否」ですね。
そこで、4つのMを監査するわけです。
● うなぎを養殖している設備、施設、
● そこで仕事をしている人の技術、技能、あるいは人の異動状況、教育・訓練
● 使用している餌の内容、入手先、使用量、病気防止の薬品の使用、稚魚の入手方法
● 水の供給、交換の方法
などが、監査ポイントになります。
そして、これらの4つの「M」が、標準化され、継続して維持できることを確認します。
▼ 監査の実施時期
ここで述べている内部監査は、購入の開始時、あるいは変更があったときに行うことを前提にしています。
出荷元がきちんと品質保証をしていることが確認できれば、平常時は通常の受入れ検査でよいでしょう。それも、輸送途上の影響を確認すればよいのです。
大手企業の間では
(1)出荷元が品質を保証する
(2)受け入れ側は、輸送途上の影響の有無を確認する
(3)梱包等に異常がなければ、中味は保証されていると判断し無検査で受け入れる。
というのが商習慣になっています。
▼ 自社の監査シートを確立しよう
これらについて、自社の製品、サービスに応じて、ノウハウを盛り込んだチェックシートを作成しておくと良いでしょう。
お客様へ製品やサービスを開始する前に、使用する材料や部品の事前の内部監査を実施して、問題があれば対策を講じる、これをきちんと実行することにより、トラブルフリーを実現することができます。
次回は、生産能力の充実度の監査について解説します。