◆ナンバーワンを狙う企業のためのISO9001改造論(27)◆
今回から、「第三部:もっとよく効く内部監査をやろう」 と題して、ISO9001の内部監査の改造論を述べてまいります。
第二十七回 松尾由弘「システムは売り物ではない、製品を監査しよう(その1)」
▼ 消費期限切れ問題が、ISOの信用問題に発展
ISO9001、ISO14001の認証を取得している不二家が、消費期限が切れた牛乳をシュークリームに使用したことが発覚。 経済産業大臣が認証機関の関連団体に対して、「ISOの信頼確保のためにも厳正な対応をしてほしい」 と述べたことから、ISOの信用問題にまで発展しています。
ISO9001は、顧客満足を重視して製品やサービスを提供する仕組みを作ることを要求した規格です。だから、消費期限が切れた材料を使用しない仕組みがあってしかるべきだ、というのが議論の発端です。
しかし、審査機関がそこまで突っ込んで審査できるかというと限界があります。審査は、サンプリングで行われるからです。
審査員の決まり文句に、「審査はサンプリングです。だから審査で指摘しなかったところに不適合がないとはいえません」というのがあります。
審査機関の言い分にも一理あるように思えますが、この問題は、正しい内部監査が行われていない状況を審査機関が見抜いていなかったという責任があります。
▼ 内部監査の目的が正しく理解されていない
ISO9001の8.2.2項には、内部監査という項目があり、以下のように記されています。
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8.2.2 内部監査
組織は、品質マネジメントシステムの次の事項が満たされているか否かを明確にするために、あらかじめ定められた間隔で内部監査を実施すること。
a) 品質マネジメントシステムが,個別製品の実現の計画に適合しているか,この規格の要求事項に適合しているか,及び組織が決めた品質マネジメントシステム要求事項に適合しているか。
b) 品質マネジメントシステムが効果的に実施され,維持されているか。
(以下省略)
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この条項の前半に、上記のように内部監査の目的が書かれています。
a)、b)とも、「品質マネジメントシステム」 が主語になっていますが、内容は3つに分かれます。
一つ目は、個別製品の実現の計画に適合しているか、
二つ目は、ISO9001の要求事項に適合しているか
三つ目は、それが効果的に実施され維持されているか、ということです。
▼ 重要なのは一つ目の個別製品の実現の計画への適合
ISOの表現は、わかりにくいのが難点ですが、一つ目は、お客様に提供する製品やサービスを実現するために決めた実施事項が、正しく行われているかを確かめなさい、ということを言っています。
内部監査の目的の中でこれが一番重要なことなのですが、残念なことに多くに企業は、二つ目、三つ目の監査に終始している傾向があります。
消費期限切れの材料を使用してはいけないことが、規則になっているのならば、それが正しく行われているか否かを確かめなければなりません。 不二家は、ISO9001の認証を受けていますが、内部監査でそれを確かめていなかったのでしょう。
審査機関の責任は、内部監査が正しく行われていなかったことを見抜けなかったところにあります。
内部監査がいい加減になっていることは、「サンプリングの審査」でも発見できるはずです。
審査機関の決まり文句である「サンプリングだから不適合がなかったとは言えません」という言い訳は通用しません。
▼ 製品、サービスを中心にした内部監査をやろう
数年前のことですが、ある建設会社からこんな依頼がありました。
「ISO9001の定期審査があるが、前のコンサルタントの都合がつかないので、代わりに見て欲しい」というのです。
行ってみると、審査に合格してから一年間何もしていなかったというのです。内部監査もやっていないというのです。
「でも、仕事はしているのでしょう」 と問うたところ、
「仕事はしているが、ISO9001については何もしていません」 という返答が返ってきました。
「何か勘違いしてやしませんか」 と言いたいのをぐっと堪えて指導しましたが、ISO9001の認証を取得した会社の多くが、万事、こんな調子なのでしょう。 残念なことです。
今回から、もっとよく効く内部監査をやろう」と題して、形式的でなく本当に役に立つ内部監査を紹介しておりますが、次回は、内部監査の対象となる製品やサービスの層別について紹介します。