◆ナンバーワンを狙う企業のためのISO9001改造論(26)◆
第二十六回 松尾由弘 「異常管理を取り入れよう」
▼ 予期しない「変化点」がある
前回までに「変化点管理」について紹介しましたが、中には予期しない変化点もあります。
予期しない変化点があると、品質確認ができないうちに製品やサービスを顧客に提供することになりますので、場合によっては不具合を起こして苦情を発生させることになりかねません。
そこで、紹介したいのが「異常管理」です。
▼ 異常に気付いたら申告
異常管理のやり方は、いたって簡単です。
作業をしていて、「おや」、「変だな」、「いつもと違うな」、「おかしいぞ」と感じたことを、すぐに管理監督者へ報告していただくことです。
そのためには、動機付けが必要です。
ひとつは、報告を受けた管理監督者が、すぐに、原因を調べて変化点を見つけ必要なアクションをとることです。「あとでやればいいや」と放っておいたら、作業者は異常に気がついても報告しなくなります。
表彰制度などを設けることもひとつの方法です。中には重大な問題を未然に防ぐようなお手柄もあると思いますので、報酬で応えることにします。
表彰制度を設ける場合には、あとで審査に使うために簡単な申告用紙を用意しましょう。
▼ ISO9001には「異常管理」がない
再三述べてきたように、ISO9001は欧米生まれの国際規格です。
規格のルーツには、日本式の品質管理があるのですが、「異常管理」だけは、欧米の風土に合わないのでしょうか、ISO9001規格には、異常管理の考え方が取り入れられておりません。
契約社会では、「命令されたことはきちんとやる」が、「命令されないことは失敗すると責任を問われるからやらない」という風土があるようで、異常管理の考え方は根付かないのでしょう。
▼ ISO9001には「予防管理」があるが・・・
ISO9001の8.5.3項には、「予防管理」があり、以下のように記されています。
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組織は,起こり得る不適合が発生することを防止するために,その原因を除去する処置を決めること。
予防処置は,起こり得る問題の影響に見合ったものであること。
次の事項に関する要求事項を規定するために“文書化された手順”を確立すること。
a)起こり得る不適合及びその原因の特定
b)不適合の発生を予防するための処置の必要性の評価
c)必要な処置の決定及び実施
d)とった処置の結果の記録
e)予防処置において実施した活動のレビュー
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この規格の表現から「異常管理」を思いつく人は少ないようです。
しかし、まだ顕在化していない問題を未然に防ぐという点では、「異常管理」は、予防管理のひとつの方法として使えます。
欧米では、できないことかもしれませんが、日本人の特質を考えれば、これは予防管理の有効な手段であるといえるでしょう。
活用してみてください。
ただし、ISO9001の審査員の中には、このような発想を持った人は少ないと思いますので、審査では、ご注意を。
次回から第三部に移り、「もっとよく効く内部監査をやろう」と題して、ISO9001の内部監査のやりかたよりも、もっと役立つ監査の方法を紹介します。