第二十五回 松尾由弘「変化点管理をやろう(その2)」
▼ 経営資源は変化する
どんな企業でも、事業のためには、何かしらの経営資源が投入されて運営されています。
それは人であったり、機械や設備であったり、技術や技能であったり、企業経営には欠かせない重要なものであることは云うまでもありません。また、経営資源は適切に管理され、改善されて維持されなくてはなりません。
現在は、競争社会です。変化しない経営資源で企業を維持することは考えにくいことです。むしろ積極的に経営資源を改善していくことが、企業の永続の条件であるといっても良いでしょう。
他社よりすぐれた経営資源を使い、すぐれた状態で維持していくかが、大事なことになります。
▼ 経営資源の変化は品質に影響
経営資源といえば、一般に人、もの、金、情報が上げられますが、品質に影響を及ぼす経営資源には、man(人)、machine(設備・機械・道具)、material(材料、製品、サービス)、method(方法、技術・技能・ノウハウ)があります。
これらの経営資源に変化が生じたときは、品質が変化して顧客に影響を及ぼす可能性があります。経営資源の変化は品質にとって重要な管理点ということになります。
ISO9001の規格に従ってトレーサビリティを記録しているだけでは、管理していることにはなりません。経営資源に変化が生じたときは、顧客に影響を与える前に品質の変化を確認し、問題があれば未然に手を打つことにしましょう。
▼ どんな変化点があるか
変化点は、4Mのすべてを対象にしてみるとよいでしょう。例を挙げて見ましょう。
man(人)は、品質に関係する人々が対象になります。作業者交代、新人投入、熟練者の欠勤などがあります。特に新人投入の逆で熟練者が入ったから安心と考えるのは危険です。変化点と考えて対応しましょう。
machine(機械、設備、道具)では、機械の修理やメンテナンス(注油やオーバーホール)、段取り換え、新設設備の使用開始、などがあります。特に小道具が個人管理になっている企業では、当人だけがわかっていても管理者には気がつかない変化点もあります。注意しましょう。
material(材料、製品、サービス)では、製品の設計変更、部品の材質の変更、材料の購入先変更、材料ロットの変更などがあります。特に、仕入先で変更が生じているのに連絡されないケースもあります。注意しましょう。
method(方法、技術・技能、ノウハウ)では、手作業を機械化した、切削方法や熱処理方法を変更した、製造場所を変更した、などを変化点としてあげることができます。
▼ 「終物」と「初物」を比較して判断
品質確認の方法で、最も簡単な方法は変更前の品質と変更直後の品質を比較してみることです。別の言い方をすれば、変更前の最後に行う「終物管理」、変更後の最初に行う「初物管理」ということになります。両者を比較して、品質に差異がなければ、その変更点には問題がなかったと判断できます。
企業によって顧客に提供する製品やサービスが異なりますので、変化点の内容もいろいろあるでしょう。時には、複雑な測定や分析を要するものもあると思います。それぞれの企業で、変化点の内容と、品質への影響との因果関係を掴んで対応してください。
次回は・・・
ISO9001は欧米生まれの規格です。日本の品質管理がモデルになっているのですが、日本的品質管理の特徴のひとつである「異常管理」が抜けています。
次回は、品質管理の重要なツールのひとつ「異常管理」について解説します。