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◆ナンバーワンを狙う企業のためのISO9001改造論(23)◆

第二十三回 松尾由弘 「経験不具合を活用しよう(その3)」


▼ きっかけはミキサーのスイッチ 

筆者が経験不具合チェックのシステムを知ったのは、30年ほど前のH製作所のプロダクト・セフティ・シンポジウムにおける発表でした。
非常にインパクトを受けたその事例は、
「ミキサーが転倒し、側面のシーソー形スイッチが入ってしまうという問題が発生した。このためスイッチを窪みの中に設け、転倒してもスイッチが接触しないように対策をとった。以後、これを設計審査項目に取り入れて、類似製品も含めてスイッチは窪みの中に設けなければ設計審査を通過できないようにした。」
というものでした。内容よりも、「このチェックをパスしないと先へ進められない」というところに意味がありました。
その後、T自動車でPPC(Pre Product Check)というシステムで、設計に限らず、試作評価、量産移行評価、仕入れ品評価などの新製品展開の各ステップにおいて使用されていることを教えていただきました。


▼ 失敗は共有の財産に

もちろん失敗は、各部門の業務標準に取り入れられていることでしょう。しかし、経験不具合チェックシートは、業務の当事者だけでなく関連部署の者がその情報を共有しているところに大きな意義があります。
業務の当事者は、常時、新しい情報に対応していかねばならず、往々にして過去の失敗情報は消えてしまう、あるいは忘れ去られてしまうことがあります。
その点、他の部署の者は、比較的冷静に見ることができます。また新人への伝達にも威力を発揮するはずです。ぜひ、過去の失敗を経験不具合チェックシートにしてあらゆる場面で使用できるようにすることをお勧めします。


▼ チェック項目のつくりかた

前回紹介した仏語と英語表記の部品の間違いについて考えてみましょう。
直接の原因は、① 類似品が棚に隣り合って置かれていたために間違えたとされていますが、他にも、② パートタイマーの方が仏語と英語の違いがわからなかった、③ 類似品があることが認識されていなかった、④ 類似品が組みつけられないようなフールプルーフ(バカヨケ)が施されていなかった、⑤ 生産量が、英語100に対して仏語2~5程度と少なく注意が払われなかった、などいろいろ考えられました。
そこで、経験不具合チェックシートには、
設計段階では、「類似品の異品組み付け防止のフールプルーフが講じられているか」、
製造段階では、「類似品の部品棚は、離れた場所にあるか」、「一種類だけでなく類似品があること作業者に知らされているか」、「類似品が組みつけられないような治工具の工夫がされているか」といった項目が加えられました。


▼ いつチェックするか

 チェックの場面は、以下の4つが適当でしょう。
1、設計審査・・・図面を見てチェックできる項目をこの段階でチェックします。設計者以外に、生産する立場の製造担当者、治工具や設備を準備する生産技術担当者、部品・材料を購入する購買担当者、ときにはお客様や外注先の担当者なども参加して行われますが、このときに経験不具合チェックシートを使うと効果的です。

2、部品評価・・・部品を見てわかる経験不具合は、この段階でチェックします。例えば、成型品のバリやひけの大きさなど、図面にないことがこの段階でわかるからです。

3、製造評価・・・生産中でなければわからない不具合はこの段階でチェックします。例えば、製品と治具とが接近していて不良を作る恐れがある、といったことなどがわかります。

4、製品評価・・・製品になって初めて判ることがあります。例えば、振ってみると異音がする、といった項目です。

  
次回は、変化点の管理について紹介します。

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2006年09月03日 12:12に投稿されたエントリーのページです。

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