今回は、親事業者の禁止行為である「物の購入強制又は役務の利用強制の禁止」の意味を整理する。(「新下請法マニュアル」鈴木満著参照)
物の購Å強制または役務の利用強制の禁止は、下請法第4条第1項第6号にある。親事業者は、下請事業者に対し製造委託等をした場合は、次の行為をしてはならないと決めている。ただし、役務提供委託をした場合にあっては、第1号及び第4号を除くとしている。
そこで、6号をみると、次のようになっている。
下請嘗業者の給付の内容を均質にし又はその改善を図るため必要がある場合その他正当な理由がある場合を除き、自己の指定する物を強制して購Åさせ、又は役務を強制して利用させること。
なお、平成15年改正で、「物の購入強制」だけでなく「役務の利用強制」についても禁止されることとなった。
ついで、アンダーライン部分の簡単な解説をし、読者の理解を支援したい。
●{正当な理由がある場合〕
例えば、陶器の品質を一定に保つため原料となる粘土を指定の業者から購入させるケースや特定の部品を渡して(購入させるかたちをとって)メッキ加工を委託するケースなどが正当な理由の場合に該当する。ただし、誰から購入しても品質的に変わらないと思われるのに指定の業者から購入させる場合等は「正当な理由がある」とはいえない。
●[自己の指定する物(役務)]
自己の指定する物とは原材料等だけでなく、親事業者やその関連会社、有力取引先等が販売する物であって、下請事業者の購入の対象として特定した物すべてが含まれる。また、自己が指定する役務とは、親事業者やその関連会社、有力取引先が提供する役務であって、下請事業者の利用対象となる役務のすべてが含まれる。
●[強制して]
「強制して」購入させる、または利用させるとは、親事業者が、物の購入または役務の利用を取引の条件とする場合、購入または利用しないことに対して不利益を与える場合のほか、下請取引関係を利用して、事実上、下請事業者に購入または利用を余儀なくさせていると認められる場合のすべてが含まれる。
●[物の購入強制または役務の利用強制に該当する行為]
次のような方法で下請事業者に自己の指定する物の購入または役務の利用を要請することは、購入・利用強制に該当するおそれがある。通常の商慣行として行われているケースが多いので再確認しておく必要がある。
①購買・外注担当者等下請取引に影響を及ぼすこととなる者が下請事業者に購入または利用を要請する場合
②下請事業者ごとに目標額または目標登を定めて購入または利用を要請する場合
③下請事業者に対して、購入または利用しなければ不利益な取り扱いをする旨を示唆して購入または利用を要請する場合
④下請事業者が購入または利用する意思がないと表明したにもかかわらず、またはその表明がなくとも明らかに購入もしくは利用する意思がないと認められるにもかかわらず、重ねて購入または利用を要請する場合
⑤下請事業者から購入する旨の申出がないのに、一方的に物を下請事業者に送付する場合
次回は、物の購入強制または役務の利用強制に係る違反行為事例(予想されるもの
を含む)を取り上げる。
中小企業基本問題研究会(略称:中基研) 合田、亀井