今回は、「買いたたきQ&A」で、買いたたき問題の典型例を掘り下げる。(「新下請法マニュアル」鈴木満著参照)
Q1 納期短縮によるコスト・アップを見てくれない
メッキ加工の下請をしている。従来、1週間の納期であったのが、2~3日に短縮されて、休日出勤や深夜勤務が増えた。メッキ加工賃は人件費割合が高く、休日出勤や深夜勤務が重なると、大幅なコスト増になる。しかし、親事業者は、このようなコスト・アップ分はみてくれない。下請法上問題にならないか。
A1 一方的低い単価設定は、「買いたたきの禁止」違反のおそれがある
納期や納入方法を一方的に変更し、これによって下請事業者の費用が大幅に増加したにもかかわらず、親事業者が下請事業者と十分協議することなく、一方的に、通常の対価(すなわち、短納期発注や多頻度小口納入の場合の下請単価)より低い下請代金の額を定めた場合は、下請法第4条第1項第5号(買いたたきの禁止)に違反するおそれがある。
Q2 「・・・おそれ」は、法違反か
買いたたきや購入強制に関する運用基準で、それぞれ、「‥‥・・該当するおそれがある」としていくつかの事項が例示されているが、例示事項に該当すれば、法違反になるのか、それともやってはいけない程度のことなのか。
A2 まず、指導の対象となる
「運用に当たっての留意点」(運用基準第1、1〈2))にも記載されているように、おそれのある行為に該当すれば指導の対象とするということである。法違反かどうかは、ケース・パイ・ケースで認定される。
Q3 何%引き下げたら買いたたきか
単価の取決めの際に、親事業者はある下請事業者が合理化等により コスト・ダウンした結果の単価を他の下請事業者に提示してその単価とするよう要請しているが、何%引き下げたら買いたたきとして問題にされるか。
A3 %ではなく手続きを重視
単価については、何%引き下げると買いたたきであるとの基準を示すことはできないし、また、適当ではないと考えられる。このため、運用基準(第4、5)ではどのような手続を経て価格を取り決めたのかにポイントを置いて、買いたたきに該当するおそれがあるかを判断するとしていろ。
Q4 現金支払いから手形払いへの変更時の問題
従来、納品締切後30日に現金で支払っていたものについて、新規契約から手形支払に切り換えることは問題ないか(手形交付は、従前の支払日と同一とし手形サイトは120日以内とする)。
1 価格等については、そのままの場合はどうか。
2 実際の入金日までの利息相当額を価格に上乗せする場合はどうか。
A4 単価据え置きで手形払いへの変更は、違反
下請代金は現金払が原則であり、従来、現金払してきたものを手形払に変更すること、特に、下請単価をそのままにして手形払に変更することは、下請事業者の手取り額を割引料分だけ減少させることになるので、下請法違反(買いたたき)となる。なお、手形割引料分を下請単価に上乗せした上で手形払に変更した場合は(あまり好ましくないが)、直ちに下請法違反とはならない。
次回は、引き続き親事業者の禁止行為である「物の購入強制又は役務の利用強制の禁止」を検討する。
中小企業基本問題研究会(略称:中基研) 合田、亀井