中基研レポ
支払遅延の違反ケース
前回は、「支払遅延行為」の基本的な内容について、整理した、今回は、代表的違反行為の6ケースを述べる。皆様の取引で、以下のケースはないでしょうか。ご確認下さい。(「新下請法マニュアル」鈴木満著参照)
① 末締めとしているのに、実際は、締め納品日でなく検査完了日とし、完了が翌月にずれ込んだために、60日を超えて支払われた。
親・子事業者で、毎月末日納入締切、翌日末支払とする取り決めをしていたが、当月末日までに納入されたものであっても検査完了が翌月となった場合には翌月に納入があったものとして計上していたため、一部の給付に対する下請代金の支払が、下請事業者の給付を受領してから60日を超えて支払われていたケース。故意の検収ずらし、無茶な検査基準などによることが常態化している取引もある。
②使用高払方式により支払遅延が生じるケース
親事業者は、一部の材料について、緊急時の受注に対応するためとして、常に一定量を納入させこれを倉庫に保管し、同社が使用した分についてのみ、下請代金の額として支払の対象とする使用高払方式(いわゆるコック 方式)をとっていたため、納入された物品等の一部について支払遅延が生じていたケース。親事業者は、在庫負担の圧縮などから使用高払方式を取るケースが多い。量販店の売場で売れた商品のみを仕入れに計上する「消化仕入れ」も、一歩間違えば、支払遅延が生じる。
③あらかじめ決めた特定の起算日がずれたため支払日が60日を超えたケース
親事業者が、放送番組の制作を下請事業者に委託し、放送日を起算日とする支払制度をとっているところ、放送が当初の予定日より遅れるなどして受領日と放送日がずれるため、下請代金が納入後60日を超えて支払われるケース。イベントの開催日などに合わせて決めていたが、開催が遅れ延びて、支払いが遅れる例など。
④一括納入を受け入れたが、支払を数回分けて行い、一部が遅延したケース
親事業者が、毎月1本ずつ放送される放送番組の作成を下請事業者に委託しているところ、下請事業者から数回分まとめて納入され、それを受領したにもかかわらず、放送済みの放送番組に対して下請代金の額を支払う制度を採用していたため、一部についての支払が納入後60日を超えるケース。管理レベルC区分商品などを年間契約で分納としていたが、契約支払日が分納支払日より遅延した。
⑤検収内容の合意不十分などにより遅延したケース
親事業者が、下請事業者にプログラムの作成を委託し、検収後支払を行う制度を採用している。納入された後プログラムの検査に3か月を要したため、親事業者の下請代金の支払が納入後60日を超えたケース。
⑥入金遅れを理由に遅延させるケース
親事業者が、下請事業者に対してユーザー向けソフトウェアの開発を委託しているが、ユーザーからの入金が遅れていることを理由として、下請事業者に対して、あらかじめ定めた支払期日に下請代金を支払わないケース。親事業者としては、失格であるが、下請業者が文句を言えないケースが多い。
なお、「支払遅延」の歯止めは、次のようになっている。
親事業者は、「支払遅延」を行った場合、受領日から60日を経過する日から支払をする日までの期間について、遅延利息を支払う義務がある。(下請法第4条の2、第7条第1項)。利息は、年14.6%と決められている。
次回は、下請法違反「支払遅延」事例への対応の仕方を述べる。
中小企業基本問題研究会(略称:中基研) 合田、亀井