中基研レポ
まず、親事業者からの書面交付があって仕事が始まる
前回述べたように、下請法違反行為には、受領拒否、減額、返品、買いたたき、購入強制、支払遅延、早期決裁、長期手形、書類不保存などがあるが、平成15年度の違反行為で多いのが、書面不交付等1,125件、支払遅延292件、減額134件となっていた。下請事業者は、親事業者からの所定の書面交付が無くて仕事を始めてはならない。ここでは、最も多い「書面不交付」について、書面交付の意義、不交付への対応などに触れる。
書面交付の意義
下請取引で、下請事業者の利益保護のために、親事業者には、次の4つの義務が課せられている。(第2条)
・ 支払期日を定める
・ 書面の交付
・遅延利息の支払
・書類の作成、保存
書面の交付は、親事業者の重要な義務の一つである。
通常の取引では、正式な書面の交付なしに、発注担当者の口約束を信じて仕事を始める習慣がある。これがそもそも間違いのもとで、トラブルとなり、力の弱い立場の下請事業者が不利益を蒙ることが多くなる。そんな、下請事業者の不利益を防ぐため、「親事業者に発注内容、支払条件をはっきり記載した書面(以下3条書面という)を発注の都度下請事業者に交付させ・・・」となっている。
下請法で定められている具体的な必要記載事項は、次の通りである。(3条規則第1条第1項)
①親事業者および下請事業者の名称(番号、記号等による記載も可)
②製造委託等をした日
③下請事業者の給付(役務提供の場合は、提供される役務。以下同じ)の内容
④下請事業者の給付を受領する期日(役務提供の場合は、下請事業者が委託を受けた役務を提供する期日(期間を定めて提供を委託するものにあっては、当該期間)
⑤下請事業者の給付を受領する場所
⑥下請事業者の給付の内容について検査をする場合は、その検査を完了する期日
⑦下請代金の額(算定方法による記載でも可)
⑧下請代金の支払期日
⑨手形を交付する場合は、その手形の金額(支払比率でも可)と手形の満期
⑩一括決済方式(後述)で支払う場合は、金融機関名、貸付けまたは支払可能額、親事業者が下請代金債権相当額または下請代金債務相当額を金融機関へ支払う期日
⑪原材料等を有償支給する場合は、その品名、数量、対価、引渡しの期日、決済期日、決済方法
単価表の別途交付は許されるか
①単価が親事業者の機密事項で、注文書に記入できないケース
親事業者にとって、単価が機密事項であるならば、下請事業者としては、注文書に数量または総額の記載を求め、単価については、別途、単価表の交付を求める必要がある。
②別途単価表を入手する
親事業者から、下請代金については、別途単価表が交付されている場合、注文書の単価欄に具体的単価の記載が無くても、「別途、平成○年○月○日付単価表による」との記載があれば、下請法違反ではない。
今後、下請法その内容と取引の実態、中小企業にとって望ましい方向などを探って行きたい。次回は、「支払遅延」について触れる。
中小企業基本問題研究会(略称:中基研) 合田、亀井